最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)3181 判決
主 文
原判決及び第一審判決中被告人に関する部分を破棄する。
被告人を懲役一年に処する。
第一審における訴訟費用中、被告人に対する事件について出頭した証人
Aに給与した金額を被告の負担とする。
本件公訴事実中、昭和二四年政令第三八九号違反の事実について、被告
人を免訴する。
理 由
弁護人小泉英一、同桝井雅生の上告趣意は別紙のとおりである。
同第一点について。
所論は、控訴趣意として主張されず、従つて原判決が何等判断を示していない事
項について、憲法違反を主張するものであるから、適法な上告理由にあたらない。
(なお、検察官が立証趣旨として「日時数量の点を除いて」と述べたように、第一
審公判調書に記載されているのは、「起訴事実と相違する日時数量の点を除いて」
という趣旨に解せられないではないし、また所論Bの上申書は、B及び被告人につ
いての公判期日において取り調べられているから(記録五五丁)、これらの点に関
して、第一審判決が虚無の証拠により事実を認定したとする所論はあたらない。ま
たBの公判廷における供述を証拠としているのは、後記大赦にあたる事実について
である。)
同第二点乃至第四点について。
所論はいずれも刑訴四〇五条の上告理由を主張するものではない。
しかし、本件公訴事実中、昭和二四年政令第三八九号違反の事実(連合国占領軍
の財産であるラジオ真空管を所持した事実)については、昭和二七年政令第一一七
号大赦令一条八三号による大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条但書、
- 1 -
三三七条三号により、原判決及び第一審判決中被告人に関する部分を破棄し、右事
実については免訴の言渡をしなければならない。
よつて第一審判決の確定した窃盗の事実につき、刑法二三五条、六〇条、四五条
前段、四七条、一〇条を適用して主文の刑を定め、なお刑訴一八一条を適用し、裁
判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
検察官 浜田龍信出席。
昭和二八年四月一四日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
- 2 -